kunji5522’s diary

原田君事の俳優になったきっかけから俳優業18年の思い出

池部良さんの付き人をして

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さむらいプロダクションに所属しましたが、初の仕事でNGを連発し社長に叱られ最初から勉強のやりなおしということで、池部良さんという大スタ-さんの付き人をすることになりました。作品は鶴田浩二さん主演の『日本暴力団 組長くずれ』です。横浜が舞台になる日本暴力団シリ-ズの第3作です、付き人といっても椅子を準備したり撮影台本を手渡したりする位で、私の場合は撮影現場を体験して勉強することが主な仕事です。撮影の初日、池部さんは早めにセットへ入られ一番奥で椅子に座って撮影準備が出来るのを待たれていました。私は池辺さんの横に立っています。そこへ主演の鶴田さんの入場です。実は丹波哲郎さん、石原裕次郎さんを別格にすれば、私の一番好きな俳優は鶴田浩二さんです、少し崩れた感じプラス男の色気、男が男に惚れるというのはこういう人じゃないんですかね、東映映画『人生劇場 飛車角』や『博奕打ち 総長賭博』など忘れられない役柄が一杯あります。社長に叱られて付き人になったんですがなにが幸いするか分りません。まさか憧れの鶴田浩二さんに会えるとは夢にも思っていませんでした。セットに入ってくる鶴田天皇(愛称)にスタッフ全員が丁重に挨拶します。それに対して「オゥ」「オゥ」と応対しながらゆっくりと奥の方まで進んできて、池部さんの存在に気づくと態度がサッと変わって直立不動の姿勢になり「先輩、ご無沙汰してます」その挨拶のカッコ良いこと。又挨拶を受けた池部さんも椅子に座ったまま「浩ちゃん、世話になるよ」とにこやかな笑顔です。この二人のやり取りは、まるで映画を観ているようでシビレてしまいました。(皆さんにも見せたい位です、キッと鶴田ファンになると思います)私が心を奪われた鶴田浩二という大スタ-がきちんと礼儀を尽くして接するほど、今、付き人をしている池部良という俳優の存在は大きいんです。鶴田さんが池部さんの隣に立っている私に「池部さんの処の人か?」と訊ねられ「はい」と返事をすると「先輩はいい人だろう」と優しく声を掛けていただきました。後日、お会いしたときも私の事を覚えていてくださり気安く声を掛けてくださいました。お二人とも亡くなられましたが、東映大泉撮影所での状況を思い出しながら、こうして文章を書いているだけであの時の興奮が蘇ってきます。今日はいい夢が見られるでしょう。  追筆:この映画の写真は載せられないので映画、TVに関係の無い私の写真を無いよりマシだと思って載せます。