kunji5522’s diary

原田君事の俳優になったきっかけから俳優業18年の思い出

名匠 三隅研次監督を偲んで(6)

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映画『狼よ落日を斬れ』風雲篇・激情篇・怒涛篇。 原作/池波正太郎 監督/三隅研次 出演/高橋英樹 松坂慶子 緒形拳 近藤正臣 西郷輝彦 1974年公開 松竹。三隅研次監督の最後の作品となった映画『狼よ落日を斬れ』にも出演させていただきました。映画『砂の器』の撮影で丹波さんと一緒に松竹大船撮影所へ行ったとき、撮影所の撮影予定が張ってあるボ-ドに、『狼よ落日を斬れ』三隅組と書いてあります。「あれ、三隅監督が大船で撮影してるんだ、私に一言声をかけてくれればいいのにと寂しい気持ちなりました。」それから、松竹出身の私としてはかって知ったる演技課へ行って、「三隅監督が、こちらで撮影をしてるんですか?」と聞きますと「そうだよ、何だったら絡みの斬られ役で使ってやろうか」と言われたので、「結構です」と断りました。演技課を出て廊下を歩いていると、偶然監督さんと会いました。挨拶をして、少し不満げに使って貰えなかった愚痴を言いますと「声を掛けたが、他の仕事が入っているから」と断られたと言う返事です。そこで、「そんな話しは聞いていないし、もしそうなら他の仕事は断ります」と云ってうちの事務所に電話をいれると、松竹から電話が入っていないとの返事を聞きその事を三隅監督に報告しますと、「よし、判った」と云って台本を書き換え官軍の役を作ってくださいました。幕臣の斬られ役から官軍の斬る役へ昇格できた訳です。戊辰戦争を描いた怒涛篇で私は西郷隆盛付きの仕官として画面に映っていて辰巳柳太郎さん扮する西郷隆盛の背後に立っています。赤熊(シャグマ)と云う赤い毛付き陣笠を被っているんでよく判別ができます。西郷さん付きから緒形拳さん演じる中村半次郎(人斬り半次郎/後の桐野利秋)付きになってからは準主役の緒形拳さんの近くにいるんで結構映っています。結核の病床で喀血して死んだ西郷輝彦さん演じる新撰組沖田総司が隠れ住んでいた家に幕臣の残党狩りで捜索にいく場面とか、上野戦争の立ち回りの場面にも何度かフレ-ムインしています。特に上野寛永寺に立てこもった彰義隊との斬り合いになる上野戦争では赤毛を振り乱しながら戦っているんで結構目立っています。