kunji5522’s diary

原田君事の俳優になったきっかけから俳優業18年の思い出

テレビ特撮ドラマ『快傑ズバット』

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宮内洋君は丹波哲郎プロの後輩俳優ですが、丹波さんとのつき合いは私よりも古い丹波一門の兄弟弟子です。彼は東映特撮ドラマに早くから主演していて、このジャンルではスタ-です。人呼んでさすらいのヒ-ロ-『快傑ズバット』は小林旭さんの主演で大ヒットした日活映画『ギタ-を持った渡り鳥』をイメ-ジして制作された特撮ヒ-ロ-物で、その独特過ぎる世界観を理解するのは私には無理だとおもいました。知識として宮内君が仮面ライダ-V3や秘密戦隊ゴレンジャ-のアオを演じていた程度のことは知っていますが、私は、東映の特撮ドラマは全く見たことがありませんでしたし、特撮ドラマは子供向け番組ということで、正直なところ、少なからず偏見を持っていました。丹波プロの山崎社長に「宮内君の作品だし、一度やってみないか?」と言われたんで仕方なく出演することにしました。私が出演したのは第9話「涙の河を振り返れ」です。「鉄の爪か釣り師十兵衛のどちらかの役を選ぶように」言われて、台本を読んでみると悪の組織ダッカ-の下部組織であるTTT団の首領「鉄の爪」の方が私に合っていて、特にキャラクタ-を作り込まなくても私の素に近い現代やくざのイメ-ジで演じられると思いました。釣り師十兵衛の役は同じ丹波プロの後輩俳優三島新太郎君にピッタリだと考えて、私は「鉄の爪」役を選びました。ロケ撮影が中心で、埼玉県川口市にあった鋳物工場の廃炉でレギュラ-出演者の大城信子さんが演じている飛鳥みどりをTTT団が宙吊りにするシ-ンと宮内君との立ち回りシ-ンを撮っています。悪の組織ダッカ-の首領「L」と私の演じた「鉄の爪」の対話のシ-ンの撮影は東映大泉撮影所のセットです。田中秀夫監督に「このジャンルの演技は、普段やっている芝居よりオ-バ-にやってください」と言われたんで、結構クサイ芝居になっていると思いますが指示通りにやりました。「鉄の爪」はほとんどのシ-ンで黒いサングラスをしているんですが「どこかの場面で鉄の爪の素顔を見せましょう」と田中監督さんが提案してくれたんで、宮内君演じる早川健から毒薬を受け取るシ-ンでサングラスを外しました。本物のヤクザと間違われるク-ルな二枚目原田君事のサ-ビスカットです。このジャンルの仕事は初めての経験でしたが、まだ若かったこともあり、立ち回りはそこそこ動けていた方ではないかと思っています。ただ、快傑ズバットを相手にした立ち回りのテストでムチで打たれた受身の際に激痛が走ったんで、普段は地面に右手をついた受身を本番では左手に変更してやりました。テレビドラマ『水滸伝』の撮影で暴走した馬から飛び降りて右肩を骨折したまま放っておいたせいなんですが当時私は35歳。自分の身体を過信していました。最初こそ偏見を持って臨んだ撮影でしたが普段の仕事よりセリフが多くて、実は途中からすごく楽しくなってきたのを覚えています。俳優を辞めてからも「子供の頃、『快傑ズバット』観ていました。原田さんって「鉄の爪」演ってた方ですよね?」どこで調べたのか、若い人に声を掛けられることがありました。宮内君のことも質問されて、後輩なんで私が「宮内は・・・」と呼び捨てにして話していると「宮内さんは、僕らから見ると神様ですよ」と言っていました。Twitter、Facebook等で調べてみると東映の特撮ドラマが大好きな若い人が多いですね。昭和の特撮ドラマのロケ地について調べている人が何人もいて、知っている情報をお互いに交換したりしているのは実に楽しそうです。HIROさんなどが立ち上げているコ-ナ-を拝見すると過去に放送された特撮ドラマについて熱心に語る特撮ファンの層の厚さに今更ながら驚きを隠せません。こんなにファンが多くて、いつまでも覚えていてくれるんだったら、悪役でもいいからもっと特撮ヒ-ロ-物の仕事を取って来てもらえばよかったと今更ながら後悔しています。「子供向けなんて」という偏見にこだわって本当にどうしようもない馬鹿者です。  写真は著作権の関係で使えないので関係の無いものを載せます。又、お知らせですが電子書籍パブ-より出版しました”映画『八甲田山』のふんどし男75”を期間限定ですが無料でダウンロ-ド出来るようにしていますので、ぜひ読んでみてください!

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