映画『皇帝のいない八月』吉永小百合。
監督/山本薩夫。丹波哲郎。山崎務。高橋悦史。山本圭。渡瀬恒彦。1978年公開 松竹。
右翼政権樹立を目的とした自衛隊による武力ク-デタ-を描いた映画で自衛隊の精鋭部隊に乗っ取られた国鉄のブル-トレイン「さくら」が舞台になっています。
丹波さんは防衛庁統合幕僚会議議長の三神陸将を、いつも通り存在感たっぷりに演じています。
私の役は国鉄下関駅の線路保安作業員で、作業服に黄色いヘルメットを被って登場します。
ブル-トレイン「さくら」の客車の下に爆弾のような不審物が仕掛けられたという通報があり下関駅に停車している夜8時15分から5分間で警察官立会いの元、電灯で照らしながら線路と台車の間にもぐり込んで不審物を捜すんですが、何も見つからないんで「別に異常ありませんね」と山本圭さんに報告します。
作業を終えて列車を降りる際に「参った参った」というセリフもありました。
列車の不審物を探すシ-ンの撮影のため北海道の夕張まで行きました。
当時の国鉄から撮影協力が得られなかったからなんですが、現代は廃線になっている三菱石炭鉱業大夕張線の南大夕張駅引き込み線で古い客車に美術スタッフがブル-トレインの外装を簡易的に取り付けて撮影をしました。
私への演技指導を巨匠山本薩夫監督自らやって見せてくださり、その余りの芝居の上手さに感心したのを覚えています。
「俺じゃなくて、監督がやればいいんじゃないの」と内心思いながら見ていました。
普段は撮影で一緒になる役者さんに自分から挨拶に行きもしない私ですが、ブル-トレイン「さくら」の客車セットの撮影をやったときに女優の吉永小百合さんが余りにも美しいので、このときばかりは自分から挨拶に行きました。