kunji5522’s diary

原田君事の俳優になったきっかけから俳優業18年の思い出

映画『人間革命』(4)

 

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私の役は四条金吾、有名な竜の口の法難のシ-ンで日蓮大聖人が今まさに処刑されようとするのを処刑場の外から見ているんですが、舛田利雄監督から「原田、涙を流しながら南無妙法蓮華経とお題目をあげてくれ」と声が掛かります。自慢じゃないが私の演技力では最初から無理な注文だと自分が一番良く知ってるんで、泣こうなんて努力は最初から一切せずに「すいません、目薬をお願いします」と云うと舛田監督が呆れながら「原田が目薬だってよ!」とメイク係りに指示したのを覚えています。まあ、私という男はこんなもんですが。泣きの演技と云えば丹波さんの付き人として撮影現場に立ち会った東宝映画『日本沈没』では、山本総理大臣役の丹波さんが島田正吾さん扮する日本の黒幕である渡老人の枕元に座り渡老人の手を握って泣くシ-ンが印象に残っています。映画『八甲田山』で有名な、森谷司郎監督の「静かに!」と言う声にセットの中はシ-ンとして緊迫した雰囲気が漂っています。丹波さんが神経を集中させてから何十秒か経って、いや、二、三分は経っていたかも知れません突如、両の目から涙が溢れ出し鼻水まで垂れてセリフに続いていきます。「これが本当の俳優の演技なんだなぁ」感動して鳥肌が立ちました。一流の俳優なら感情をコントロ-ルして涙を流すこともできるんでしょうが、私にはとても無理な話です。今、この文章を書いていて私は俳優という職業を選んだのが間違いだったのだと気付かされました。現実を認めるというのは淋しいですね。